売春防止法見直しへ 「買う側」も処罰対象か

時事

 法務省は成人間の売買春を規制する売春防止法について、改正を視野に入れた検討に着手する方針を固めた。
 現行法では、売春の勧誘や客待ちを行った「売る側」のみが処罰対象となっており、「買う側」に対する直接的な罰則規定は存在しない。
 この不均衡な規制のあり方を見直し、買う側も処罰対象に含める案が浮上している。

 法務省は2026年2月にも、有識者を含めた検討会を設置し、制度の見直しに向けた議論を本格化させる見通しだ。罰則の在り方や水準の引き上げについても検討される可能性がある。

売春防止法の現状と課題

 売春防止法は1956年に制定され、「社会の風俗をみだす」として、金銭を介した不特定多数との性交を防ぐことを目的としてきた。
 ただし、性行為そのものは処罰対象とせず、売春のあっせん、管理、場所の提供などを主に規制している。

 一方で、売る側が公衆の場で客を勧誘したり、客待ちをしたりする行為については、「6カ月以下の拘禁刑または2万円以下の罰金」という刑罰が定められている。
 しかし、買う側に対する明確な罰則規定はなく、結果として「売らざるを得ない立場の人だけが処罰される構造」になっているとの批判が長年指摘されてきた。

 未成年者が関与する場合は、児童買春・児童ポルノ禁止法や児童福祉法によって処罰されるが、成人同士のケースでは買う側が処罰を免れる状況が続いている。

見直し論が強まった背景

 今回の見直し議論が加速した背景には、2025年11月に発覚した人身取引事件がある。タイ国籍の当時12歳の少女が東京都内のマッサージ店で働かされ、売春を強要されていたとして保護された。
 この事件をきっかけに、同年秋の臨時国会では売春防止法の構造的な問題が改めて議論された。

 国会では「性を売らざるを得ない女性だけが検挙される歪んだ制度だ」「需要側に責任を問わなければ問題は解決しない」といった声が相次いだ。
 これに対し、高市早苗首相は「社会情勢の変化を踏まえ、売買春に関する規制の在り方について必要な検討を行う」と答弁し、平口洋法相に検討を指示した。

 法務省はこれを受け、国内の運用状況に加え、海外の制度についても調査を進めてきた。欧州では、売る側を処罰せず、買う側のみを罰する「需要抑制型モデル」を採用する国もあり、こうした制度が参考にされる可能性がある。

想定される懸念と今後の論点

 一方で、法改正には慎重な議論も求められる。買う側を処罰対象とした場合、地下化が進み、かえって被害者の発見や保護が難しくなるとの指摘もある
 また、処罰の線引きや捜査の実効性、プライバシーへの配慮など、運用面での課題も少なくない。

 さらに、単に刑罰を強化するだけでは、貧困や家庭環境など、売春に追い込まれる背景問題の解決にはつながらないとの意見もある。
 支援策や相談体制の充実とあわせて、包括的な制度設計が求められるだろう。

 売春防止法は制定から約70年が経過し、社会構造や価値観も大きく変化している。今回の見直しは、単なる法改正にとどまらず、「誰を守り、誰に責任を問うのか」という根本的な問いが改めて突きつけられていると言えそうだ。

[引用元]
https://news.yahoo.co.jp/articles/dc157a54c7095640d06aad05b915d42a1e6549c4

コメント

タイトルとURLをコピーしました